中二病が治らない

そんな私の戯言です

待ち時間

ぼくが小学生だったころ、2000年代後半のyoutubeは、今よりずっと遅かった。

PCのスペックやインターネット回線の速度が今と全然違ったせいもあるが、1本の動画を観るまでに、だいたいその動画の再生時間と同じくらいの読み込み時間があった。今じゃ考えられない。

2021年のぼくは、携帯をauのスタンダードプランからpovoに乗り換えて、速度制限時でも1Mbpsのデータ通信が可能になった。にもかかわらず、通信制限で回線が遅いと文句を言っているのだから、ほんの10年前と比べても世界はずいぶん早回しになった。

 

早回しになったことで、辛抱に耐えられなくなっている。

今やすっかりおなじみになったyoutube広告。広告をスキップするまでの5秒の時間も惜しくてたまらない。

ネットの動画でCMを見るなんて想像すらしていなかった2000年代後半の方が、本編にたどり着くまでずっと時間がかかったのに。

テレビ番組も、見たいものはもっぱら録画して観るのが当たり前になっている。
今はテレビ番組の録画は、大容量のHDDに保存するのが当り前だ。予約も番組表からヒョヒョイ、っとできてしまう。
見たい番組を時間を選ばず見るためにビデオデッキの真っ青な画面をいじったり、VHSを先頭まで巻き戻したりする必要はない。
というか、「巻き戻し」「早送り」がビデオテープの処理方法を指すことばだってことも、今の今まで忘れていた。

 

世の中が便利になるにつれて、ぼくらはよりせっかちになった。
けれど、それを指して「現代人は堪え性がなくなった」というのも、いささか早計でもある。

 

昨年末、コロナ禍にもかかわらず宝くじ売り場には長蛇の列ができていた。
ずっと早く移動する手段があるにもかかわらず、青春18きっぷはなくならない。

世の中が便利になって、望まぬ待ち時間はことごとく退けられている。
その一方で、わざわざ待つ手間を自分から買いに行くケースもある。

 

なんでもかんでも一元的な傾向としてとらえるのは、少し無理がありそうだ。