中二病が治らない

そんな私の戯言です

郷土(ではないけれど美味しい)料理

昼飯に「牛肉の朴葉味噌焼き」を食った。

朴葉味噌 | 日本の食べ物用語辞典

 

朴葉味噌とは岐阜県は飛騨高山地方の郷土料理で、味噌にネギなどの薬味や舞茸などのキノコ・山菜を混ぜ合わせたものを、ホオノキの葉っぱに載せて焼く。
もともとはご飯のお供として単体で食されていたらしいが、近年は観光客向けに牛肉を一緒に焼いて和えたものを提供することが多く、「朴葉味噌」といったらもっぱらこの料理を指すのだそうだ。

とにかく、この朴葉味噌がまあ、飯が進む進む。

薬味が絡んだ濃い味の味噌が肉と絡み合い、牛肉本来の旨味を一層引き立てる。普段は体重制限のために米は茶碗1杯に抑えているのだが、この日は盛々2杯平らげてしまった。

 

とまあ、ここまで書いておいてアレだが、ぼくとその家族は、岐阜県に縁もゆかりもない。
父は千葉、母は東京の人間で、ぼくも生まれこそ北陸だが人生の大部分を首都圏で過ごしている、生粋の関東人だ。

ではなぜ、飛騨高山の郷土料理を家庭で食べているのか。

もうお気づきかもしれないが、その答えは「旅」だ。

 

旅行好きの父の影響で、ぼくは小さい頃から日本の各地に家族旅行で連れてってもらった。
その土地土地の特産品や郷土料理を食べることは、旅先での大きな楽しみの一つだ。
そこでの料理がまた食べたいくらい美味しいものだったら、自宅でまた食べよう、という発想に至る。そして、家族の料理のレパートリーに日本各地の料理が追加されていく。

発起人はだいたい父だ。

 

父はよく福井県に出張に行っていたのだが、福井県には「ヨーロッパ軒」というソースかつ屋がある。

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揚げ物好きの父が出張のたびに食べていたのだが相当気に入ったらしく、店の味を自宅で再現せんと出張のたびに特製のソースを買ってきては家族の献立に組み込んだ。いつしか、福井のソースかつは我が家の定番料理の一つとなった。
薄く切ったロース肉をさっと揚げて、甘みのあるたれに浸したかつを山盛りのごはんに載せて食べるのだが、これがまた美味い。
特製のたれはごはんとの相性も抜群で、かつから染み出してくるソースが絡んだ米は無限に食べられる。

 

 そのほかにも広島のお好み焼きや宇都宮の餃子、盛岡の冷麺など、日本各地から家庭料理のレパートリーに”持って帰ってきた”事例は枚挙にいとまがない。

各地の特色が色濃く表れた料理を自分の家で食べるというのは、いろいろな場所から宝物を持って帰っているような気がして、なんだか楽しい。
郷土料理はその土地特有の要素、例えばそこで採れる食材、おかれた気候条件、文化や食習慣がぎっしりと凝縮されている。
それを食す、まして家庭料理として生活の一部に組み込むということは、ただ味覚を楽しむのにとどまらず、その土地の特産品や慣習・文化なんかも一緒に持って帰って、自分たちの生活圏に入れてやるということなのではないだろうか。

逆に、料理に秘められた歴史やストーリーなんかを紐解いて、そのルーツを知るなんてのもまた一興だ。

 

このところ外に出れない日々が続く。まして旅行に出ようだなんて言語道断だ。

そんな時には、レシピサイトかなんかでおいしそうな郷土料理なんかを見つけて、作ってみたりなんかしてみたらどうか。

ひょっとしたら、旅に出たくなって仕方なくなってしなうかもしれないが。