読んだ本 2020年4月
タイトルのまんま。その月に読んだ本を簡単に紹介していく。
読み切った本だけでなく、読みかけのやつや途中のものもあります。
読んだ本
1.『知の編集術』松岡 正剛
編集者にして日本最強の書評サイト「千夜千冊」を運営する松岡正剛さんが、自らの考える編集観とその実践法を記した1冊。
書籍や雑誌の編集にとどまらず、情報を取り扱うヒトのいとなみ全てを「編集」と定義しているところが斬新だった。
自分の過去を思い出しながら誰かに話す時、それは自分の経験を編集しているといえるし、料理をするときに本来のレシピからアレンジすることもまた編集だ。
しからば、人のいとなみは全て何かを編集していると言えるし、その意味で人間は編集する動物なんだな、と読んでいて感じた。
また、文中に何度も登場する「編集稽古」も面白かった。
実際に取り組んでみて、次第に自分の思考が活性化しているのが実感できたし、何より自分の知識量の狭さ・小ささを実感できた。もっと精進せねば。
自分の価値観・世界観にかなりマッチしていたし、影響もかなり受けた1冊。
2.『ムッシュー・テスト』ポール・ヴァレリー
上で挙げた「千夜千冊」で紹介されていたことに加え、小林秀雄の文章の中にも出てきた名前だったことから、ヴァレリーの本を読んでみようと思って手に取った。
内容は小説の形をとった思考実験?のようなもの。
他のいかなる存在にも依存しない存在、何でもできるけどあえて何にもしない人?
正直自分には難解すぎて、1/10も理解できていないと思う。
文中に「自分の思考を外部物である言葉で表現したら、それは真に自分が考えていることとは別物になるのでは?」みたいなことが書いてあって、それはこの記事のアイデアのもとだったりする。
今読んでいる本
1.『イスラームから見た「世界史」』タミム・アンサーリー
アフガニスタン生まれで、アメリカで活動する作家、タミム・アンサーリーさんの著書。
これは学術書ではなく、あくまで歴史の物語であるというスタンスを取りながらも、ムハンマドの時代から現代までのイスラーム世界の歴史を、豊富な情報量で丁寧に分かりやすく綴っている良書。
ぼくらは普段忘れがちだが、学校で習った「世界史」はヨーロッパ人の視点に立って書かれたものだ。同じ出来事でも別の視点から見れば、その様相は全く変わってくる。
ヨーロッパの視点から見れば一大イベントだった11世紀の十字軍も、イスラームの側から見れば「迷惑な強盗がやってきた」くらいの認識で、のちのモンゴル襲来のほうがよっぽど大ダメージだった、という話は面白かった。
他にも、スンナ派とシーア派はなぜ分かれたのか、スルタンとカリフの違いは何か、のような、学校の授業では詳しく触れなかったところもわかりやすく書かれている。
今はちょうどムガル帝国のあたりで止まっている。これから近代に入るわけだが、こっからが大事なところだよな。
(みんな大好きブリカスさんも、きっと出てくるのだろう)
2.『公共哲学』マイケル・サンデル
『これからの「正義」の話をしよう*1』の著者の本。
『これからの~』は道徳の話がメインである一方で、こちらの『公共哲学』は(今のところ)ゴリゴリの政治哲学書。
米国のリベラルの立場から、政治から道徳や価値観がなぜ失われてしまったのか、それらを再びどのような形で取り戻していくか、ということが書かれている。
余談ではあるが、著者のサンデル氏はMLB球団のボストン・レッドソックスの熱心なファンらしい。
同氏は、贔屓球団のサイン盗みの件をどう思っているのだろうか。是非聞いてみたい。
3.『ランボオ詩集』中原中也 訳
詩なんかは特にそうだが、別の言葉に翻訳してしまうと、オリジナルの詩歌が本来持っていたニュアンスと変わってしまうんじゃないかと思う。
まあ、違いが分かるほど高尚な人間でもないし、いいのか。
4.『未来をつくる言葉 わかりあえなさをつなぐために』ドミニク・チェン
まさに今日読み始めた本。ちなみに、初めてKindleで買った本でもある。
著者のドミニク・チェンさんは研究者で、メディア・テクノロジーと人間とのかかわり方に特に関心の強い方なのだそう。
以前同氏が出演したオンラインでのトークイベントで参加し、自分の関心と通じるところが多かったことから、ぜひ読んでみようと思っていた作品。
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自分が読んだものを、いつかこういう形でアウトプットしたいと思っていたのだが、ようやく一応の実現を果たせた。
別に批評とかではなく、単に「こんなもの読んだよ!」というご報告にすぎないのだが。
それでも、自分の発信をきっかけに今あげた本に興味を持ってくれる人が現れれば、それに勝る喜びはない。
しかし、高校時代まで別に本好きというわけじゃなかったのに、大学からこんだけあれこれ手を出すようになったのはどうしてだろう。
暇だったからだろうか。